設備等のリスクマネジメント技術者認証のBOK
2020年10月19日 14時13分 [事務局]4.1 圧力設備等の診断に関する基礎知識 *
*HPIS F 101圧力設備等の診断に関する技術者の認証基準で規定するレベル1技術者のBOKに同じ。
圧力設備診断技術者(レベル1)
(1) 設備診断の基本
圧力設備等の診断に関する基礎知識。
① 設備診断の目的と基礎知識の体系
② 時間基準保全と状態基準保全
③ 圧力設備等の設計,製作,維持に関する法規制と規格
④ 圧力設備の保安検査と圧力設備診断技術者の役割
(2) 公式による設計
圧力設備等の強度設計に関する基礎知識。
① 圧力設備の要求性能(耐圧性能,気密性能,耐久性能)
② 規格による設計の考え方(公式,解析,試験)
③ 公式による設計(公式と許容応力)
(3) 機器の種類と構造
圧力設備等の機器の種類と構造に関する基礎知識。
① 塔槽類,反応器,熱交換器
② タンク
③ 加熱炉及びボイラ
④ 配管
(4) 材料選定の基本
圧力設備等の構成材料の選定に関する基礎知識。
① 圧力設備の要求性能と材料特性(強度,靱性,耐久性)
② 材料規格と設計規格
③ 鉄鋼材料(フェライト鋼とオーステナイト鋼)
④ 非鉄金属材料(ニッケル合金,銅合金,アルミニウム合金など)
⑤ 有機材料,無機材料,複合材料
(5) 製作と溶接
圧力設備等の製作と溶接に関する基礎知識。
① 製作
② 試験と検査
③ 溶接施工と品質管理
④ 溶接
⑤ 溶接補修
(6) 材料の腐食の基本
圧力設備等の構成材料の腐食に関する基礎知識。
① 腐食の形態
② 環境の腐食特性と材料の耐食特性
③ 腐食の診断
④ 劣化,損傷の基礎知識
(7) 非破壊検査の基本
圧力設備等の非破壊検査に関する基礎知識。
① 非破壊検査の目的と位置付け(製造検査と供用中検査)
② 非破壊試験方法の種類と特徴
③ 機器分類と非破壊試験の適用
(8) 維持規格の基本
圧力設備等の維持規格に関する基礎知識。
① 維持規格の構成(供用中検査,供用適性評価,補修と取替え)
② 供用適性評価技術の基礎知識(き裂状欠陥の評価)
③ 供用適性評価技術の基礎知識(減肉状欠陥の評価)
(9) 耐震診断の基本
圧力設備等の耐震診断に関する基礎知識。
① 地震の強さ
② 耐震性の確保
③ 耐震計算モデル
④ 耐震性能評価(1)設備診断の基本
4.2リスクマネジメントの専門知識
(1)リスクマネジメントの基礎
リスクマネジメントの目的,定義と構成,手順及び規格等に関する一般知識。
①リスクマネジメントの定義と目標
リスクマネジメントの必要性,定義,目標や実施の考え方,リスクマネジメント(RM)と危機管理(CM)の違い
②リスクマネジメントの手順
リスクマネジメントの構成・実施手順,リスクマネジメントにおけるリスクアセスメントの位置付け,リスクマネジメントとリスクマネジメントシステム,コスト・ベネフィット
③リスクの定義と定量化
リスクの意味と分類,リスクの確率論的定義と数量化表現,確率論的リスク評価(PRA)
④リスクアセスメント
リスク解析で用いられるFTA, ETA, ベイズの定理とベイズ更新
⑤ リスクの受容性(tolerability)と社会的受容(public acceptance)
リスク・ベネフィット,ALARP原則,リスクの社会的受容基準(公的基準と自主的な基準),安全性とリスク,安全文化
⑥リスクコミュニケーション
リスク情報の伝達行為とリスク情報の共有,リスクマネジメントにおけるリスクコミュニケーションの位置付けと定義,対話の方法論とその有効性の検証
⑦リスクマネジメントにおけるモニターとレビュー
社会的要求の変化とリスクマネジメント,社会変容に対応するためのモニターとレビューのチェックポイント
⑧リスクマネジメントの規格
ISO/IEC Guide 73,JIS Q2001とISO 31000の相違点
(2)プロセスプラントのリスクアセスメント
リスクアセスメントの背景,必要性,目的,実施方法,リスクマネジメントの知識。
① プロセスプラントの特徴
プロセスプラントのハード構成,使用条件,制御システム,輸送手段,国内外の事情
② 化学プラントの事故と規制の歴史
過去に発生した重大事故と環境汚染の事例,事故から規制による予防への展開
③ プロセスの安全マネジメント
プロセス安全の概念と構成要素,リスクに基づくプロセス安全マネジメントの導入,監査システム,安全のmetrics
④ リスクアセスメントの規格,基準
基本規格(ISO,IEC)と部門・業界規格(API, CEN, IEC),対象(機械,パイプライン)
(3)プロセスプラントのリスクアセスメントの手法
プロセスプラントのリスクアセスメントの実践方法。
① プロセスリスクアセスメント(PRA)方法
PRAの構成(手順,規格),PRAの各段階で用いられる技術と方法(発生確率(GFF),影響評価(モデル化と解析的方法),リスクの評価と対応(ALARP, 個人リスク,集団リスク,安全基準値),リスク緩和)
② プロセスプラントのリスクマネジメント
プロセス開発過程でのマネジメント,建設時の安全審査(海外事例の紹介),安全の維持と向上
③ 影響度評価ツールと使用例
影響度評価ツールの紹介と使用例の紹介
④ 実践のための考え方
ハザード(hazard)とハーム(harm),安全という状態,想定の誤りの原因
(4)リスクアセスメントにおけるハザードの特定
リスクアセスメントにおけるハザードの定義とハザードの特定のケーススタディ。
①リスクの再考
リスクの本質と定義、事象の不確かさ、目標に対して与える影響
②リスクアセスメントにおけるハザードの特定
リスクアセスメントの構成、リスク源とハザード、ハザードの分類、表示、例示
③高圧ガス事故のケーススタディ
異物ハザード、機能ハザード、学識ハザード、締結管理のハザード、人と物のインタフェイスのハザード、危険源としてのハザード
④ハザードの特定に関する課題
ハザードの特定のケーススタディの継続、ハザードリストの作成と活用
(5)オペレーションのためのリスクアセスメント
プロセスプラントにおけるリスクアセスメントにおけるハザードの特定のための基礎知識。
①リスク解析手法
リスクアセスメントに用いられるリスク解析手法(FTA, ETA, What-if, FMEA, HAZOP)
②定常操作と非定常操作におけるリスクアセスメント
連続プロセスの定常HAZOP,非定常操作・作業の手順HAZOP,緊急シャットダウンHAZOP
(6)リスクベースオペレーションの実践
リスクベースオペレーションの実践方法,リスクアセスメントの結果を運転に活用することの重要性。
①リスクアセスメントの定期的見直し
オペレーションにおけるリスクアセスメントの定期的見直しの必要性
②変更時のリスクアセスメント
リスクアセスメントが必要な変更,変更の規模に応じたリスクアセスメント手法
③オペレーションにおける安全システムの健全性維持
リスクアセスメントで抽出された重要な安全システムの健全性維持の考え方
(7)メンテナンスのためのリスクアセスメント
リスクベースメンテナンスの基礎知識,破損確率評価と影響度評価の基礎知識。
①メンテナンス
工学の3本柱(設計,オペレーション,メンテナンス)の一つとしての位置付け,メンテナンスの基本要素(検査,評価,補修・取替)
② リスクベースメンテナンス(RBM)
リスクに基づくメンテナンスの概念,検査データを活用するためのベイズ統計学の利用
③ リスクアセスメントの手順
ISO14121に基づくリスクアセスメントの一般的手順のメンテナンスへの適用,定性的リスク評価,定量的リスク評価,専門家チームの要件
④ リスク対応
リスクアセスメントの終了後にとるべき4種類の対応方策,対応方策に基づく意思決定
(8) リスクベースメンテナンスの手法
リスクベースメンテナンスの実践方法(準備段階,リスク評価段階,保全計画作成段階での具体的方法)。
①実践方法の基礎知識
RBMが提案,作成された背景と特徴
②破損発生確率評価
破損発生確率の具体的評価方法,破損の原因となる各種の損傷発生の可能性評価方法
③破損影響度評価
破損影響度の具体的評価方法,破損の内容と評価すべき影響度の種類
④リスク評価
リスクの決定方法と表現方法,リスク受容のレベル
⑤保全活動
リスクに基づき実施する保全活動,破損発生確率と破損影響度の具体的な低減方法
⑥検査計画
保全活動における検査計画の位置付け,リスク低減の具体的方法